SSブログ
前の10件 | -

「悪しき貴族は乙女をさらう」 アン・スチュアート [MIRA文庫]

「悪しき貴族は乙女をさらう」(愛と享楽のローハン子爵家2)

なんだ?この強引な設定は。
と思ったのは、前作ジャコバイトでお尋ねものだったフランシス・ローハンの36年間の境遇です。
何故に英国貴族ヘイヴァーストーク侯爵になってるんだ?
ローハン子爵家だったはずなのに、ローハン子爵が嫡男の儀礼称号になってしまってるーー;
と、すっごい腑に落ちなかったのですが、作者HPで前作のエピローグが無料公開中でした。
http://anne-stuart.com/epilogue-ruthless
前作を読んでいる方は、こっち読んでから作品に入るのをお勧めします。
他愛ない話ですけどね。謎は解けます。
短いので精読してみました。左上の「日本語訳のメモ」のブログに日本語訳アップしています。
訳仕方が難しくて物凄い意訳になってる部分が多数ありますが……。

さて、ということで、ヘイヴァーストーク侯爵の後継ぎローハン子爵エイドリアンがヒーローのこの作品、前作と異なり、コミカルな感じがしたのは、エイドリアンがあまりにもお子ちゃまだからでしょうか。
序盤、父親張りにかなりいい感じの放蕩者ローハン子爵の雰囲気を醸し出していたエイドリアンですが、話が進むにつれ、どうやら人物像が思っていたのとかなり違うことに気づく。
15歳で過酷なカローデンを経験したフランシスと異なり、28歳という若さも相まって相当のおバカキャラになっております^^;
ま、それだけに、実は普通の誠実な青少年になれたかもしれないヒーローですね。根は真っ直ぐな子です。
反抗期と兄の死が重なって、偉大な父への反抗期が上手く終わらず、エティエンヌに捻じ曲げられてしまったという所か……。
元々かなりヤな奴だったエティエンヌがパワーアップして、極悪人に育ってしまってました。
そんな極悪人の謀略に全く気付かないエイドリアンにやきもきしつつ、ヒロイン・シャーロットへのメロメロぶりというか、混乱ぶりは読んでて楽しかったです。
衝動的でお子ちゃまな話もたまには良い。
そして、ヒロインが姉さん女房で良い感じ*^^*
十年前の出会いを覚えてるってことは、エイドリアンにとっても何らかの感じるものがあったんだろうし、いいわあ、この設定。
もう一つのカップルの方も設定が好きだわ。サブキャラとしてではなく、メインで読みたいロマンスでした。

何も考えずに気楽に読めた作品でした。とってもリージェンシーらしい作品だったしね。前作より一般受けしそうな内容です。


悪しき貴族は乙女をさらう (MIRA文庫)

悪しき貴族は乙女をさらう (MIRA文庫)

  • 作者: アン スチュアート
  • 出版社/メーカー: ハーレクイン
  • 発売日: 2014/10/11
  • メディア: 文庫



HS-335「淑女を誘惑」 HS-343「ローマで愛して」  ミランダ・ジャレット [HQヒストリカル]

「淑女を誘惑」(恋の旅路はスキャンダラス1) ミランダ・ジャレット

公爵令嬢でお堅いメアリーと貧乏貴族の六男ジョンが主人公。
序盤の妹のダイアナには唖然としましたが、それ以外は概ね好ましい感じで話が進みました。
始めは軽いチャラ男風に出てきたジョンですが、どんどんメアリーに真剣になって行く様子は中々良いです。
お金はないけど愛だけはあるから全てを捨てて付いてきてくれと言えるヒーローは珍しい。
ジョンを信頼していて、愛のために全てを捨ててついていくヒロインも良い。
最後に財宝に手をつけなかったのも○。



「ローマで愛して」(恋の旅路はスキャンダラス2)

前作でどうにも好きになれなかったダイアナがヒロイン。
ヒーローにもあまり好感が持てなかった。私はあまりイタリア男が好きではないらしい^^;
まあ、中盤以降の物語は楽しめました。
前作もそうですが、ヒーローが往生際がとても良い話です。
本気になった自分の気持ちをちゃんと理解して、決断するのも早い。
それまではちょっと遊ぼうという気持ちが強い所も前作と同じね。
最後、家庭教師のミス・ウッドが可哀そうだった。彼女を救ってあげてほしかったわ。

淑女を誘惑―恋の旅路はスキャンダラス (ハーレクイン・ヒストリカル・ロマンス)

淑女を誘惑―恋の旅路はスキャンダラス (ハーレクイン・ヒストリカル・ロマンス)

  • 作者: ミランダ ジャレット
  • 出版社/メーカー: ハーレクイン
  • 発売日: 2008/09
  • メディア: 新書



ローマで愛して―恋の旅路はスキャンダラス (ハーレクイン・ヒストリカル・ロマンス)

ローマで愛して―恋の旅路はスキャンダラス (ハーレクイン・ヒストリカル・ロマンス)

  • 作者: ミランダ ジャレット
  • 出版社/メーカー: ハーレクイン
  • 発売日: 2008/10
  • メディア: 新書



「公爵と百万ポンドの花嫁」「侯爵と仮面舞踏会の花嫁」 ジュリアン・マクリーン [その他出版社]

「公爵と百万ポンドの花嫁」

欠点なしヒロインも欠点なしヒーローもあまり好みではないんだと改めて感じた作品でした。
結婚するまでの前半はフワフワした感じで話が進んでいきます。
実際二人とも一目惚れの中、オーソドックスな英国上流階級の社交界と求婚が楽しめます。
後半の結婚後のすれ違いもステレオタイプな愛を認められないヒーローと前向きに耐えるヒロインで、分かりやすい展開。
最後は全てが丸く収まってのハッピーエンドで、軽い気持ちでヒストリカルロマンスを楽しみたい時にはいいじゃないでしょうか。
ただ、ヒロインの台詞の訳仕方がとって微妙ーー;
何だか気持ち悪いのです。
それが気になって気になって……微妙にソフィアが好きになれなかった。



「侯爵と仮面舞踏会の花嫁」

この話、嫌いじゃないです。
前作は予定調和な感じがあったけど、今回はオーソドックスなストーリーの割に話の展開が読みにくい所もあって、楽しく読めました。
シーガ―の捻た所も、この作品が好みだった点かな。
28歳という若さに見合った無軌道で無責任な行動と思考だったと思う。後数年したら彼の精神状態も落ち着くんだろうなあと思わせるし、作品の中でしっかり成長していく所が良かった。
結構ヒロインの衝動的で無分別なあたりはどうでも良かった。まあ、私の好みのヒロインではないのは確かだけど、口調ほどには気にならなかったので。
そして何気にいい味出していたのが、ジェイムズだったりして……。
傲慢さもなくなり、落ち着いたいい男になったなあって感じ。
過去の自分に重ねてるんだろうなあと思わせるシーガ―に対する態度がとても良かったわ。

しかし、英国作家があまりアメリカ人女性を主人公にした話を書かないの同様、米国・カナダ作家は英国貴族とアメリカ人女性というカップリングが好きだよなあ。
話の内容でどこの作家かすぐに分かるよね。


さてこの作品、三女アデルがヒロインの話、ジェイムズの妹リリーの話、親友のウィトビ―伯爵の話とスピンが続いているようですが、邦訳はないんだろうなあ^^;
まあ、無理して読みたいというような作品でもなかったけどね。
ジュリアン・マクリーンはそれよりも「ハイランダーにとらわれて」のシリーズの方が気になる。

公爵と百万ポンドの花嫁(オーロラブックス)

公爵と百万ポンドの花嫁(オーロラブックス)

  • 作者: ジュリアン・マクリーン
  • 出版社/メーカー: 宙出版
  • 発売日: 2009/06/10
  • メディア: 文庫



侯爵と仮面舞踏会の花嫁 (オーロラブックス マ 1-2)

侯爵と仮面舞踏会の花嫁 (オーロラブックス マ 1-2)

  • 作者: ジュリアン・マクリーン
  • 出版社/メーカー: 宙出版
  • 発売日: 2009/11/10
  • メディア: 文庫



「愛の序章」「美しき標的」「狙われた花婿」(危険な恋のゆくえ) アン・ヘリス [HQヒストリカル]

「愛の序章」(危険な恋のゆくえ1)

サラという少女の失踪事件が話のスタートになるのですが、どうも物語が淡々と進んでいて、感情移入できなくて斜め読みしてしまいました。もう少し情熱的にまとまらなかったのかしら。
始めから犯人が分かっているのでミステリーという感じではないし、盛り上がりにも欠けるのです。
ラスボスでもいるのかな、っと頑張って読み進めましたが、犯人は始めからみんなが指摘している人だったし、犯人側に意外な人物がいたという展開でもないし、あまりにもドキドキ感がなさすぎます。
ではロマンスが良い?という訳でもなく、二人とも淡々としていて、面白みがない。
葛藤がなさ過ぎて、予定調和すぎて、これをロマンス小説として読むの?と思ってしまった。
これは小説というより、あらすじといった方が良いほどそっけない作品でした。
ダニエルもエリザベスもキャラは嫌いじゃないんだけどなあ。

理性的で分別がありすぎるヒロインというのは、ヒーローが放蕩者でないとこんなにも退屈なロマンスになるんだね。という見本のような作品でした。
うーん……やっぱり、アン・ヘリスとは相性が悪いんだな、私ーー;



「美しき標的」(危険な恋のゆくえ2)

引き続きサラの問題が話の起点となっています。
今回ヒーローがサラの兄チャールズということもあって、前回よりはましだったかな。
でもやっぱり色んな意味でドキドキ感がなくて、微妙です。
チャールズの葛藤は分かるし、その辺りの悶々とした所は私好みなんだけど……アラベラがダメだ><
性格は前作のエリザベスと同系統のヒロインなんだけど、称号持ち金持ち美人未亡人で、性格が優しいのか高飛車なのか良く分からない感じ。
ロマンスが空回りしております。
アラベラをめぐる陰謀の方も何だかなあ。
どうして盛り上がりに欠けるんだろう。
それなりに面白そうな序盤だっただけに、中盤から終盤にかけてのあっさりした淡泊な話の進め方がとっても残念。



「狙われた花婿」(危険な恋のゆくえ3)

えー?
と思ったのが手のひらを返したようなサラ。
待ってて欲しかったのならそういうべきだよなあ。
何となく、性格がアラベラそっくりのサラ。どうにも好きになれないキャラっぽい感じで話がスタート。
でも、前二作と異なって、犯人がずっとわからないし、ジョンを取り巻く謎がミステリアスな雰囲気で展開していくのでまあまあ面白かったです。
三部作の中では一番かな。
ロマンス部分も推理サスペンス部分と上手く絡んでいて他の作品と比べるとずっと読み応えがありました。
でも、どうして色々釈然としない気持ちが残るんだろう。
アン・ヘリスでむっちゃ面白かったっていう作品を読んだことがない気がするわ。


愛の序章 (ハーレクイン・ヒストリカル・スペシャル)

愛の序章 (ハーレクイン・ヒストリカル・スペシャル)

  • 作者: アン ヘリス
  • 出版社/メーカー: ハーレクイン
  • 発売日: 2014/02/28
  • メディア: 新書



美しき標的 (ハーレクイン・ヒストリカル・スペシャル)

美しき標的 (ハーレクイン・ヒストリカル・スペシャル)

  • 作者: アン ヘリス
  • 出版社/メーカー: ハーレクイン
  • 発売日: 2014/04/25
  • メディア: 新書



狙われた花婿 (ハーレクイン・ヒストリカル・スペシャル)

狙われた花婿 (ハーレクイン・ヒストリカル・スペシャル)

  • 作者: アン ヘリス
  • 出版社/メーカー: ハーレクイン
  • 発売日: 2014/06/27
  • メディア: 新書



「いとしの伯爵と秘密のひとときを」エリザベス・ボイル [その他出版社]

大好きな作品です。
何回読んだか分からないほど、何度も読んでます。
パラノーマルで何でもありのご都合主義ストーリーなのにね^^;
私がこんなに読み返す作品は珍しいです。

実は話の三分の二はあまり好きではありません。
このストーリーの大部分を占めているのは別世界(?)での話です。
ヒロインは奔放な高級娼婦だし、ヒーローは貧乏放蕩貴族だし、娼婦と放蕩者が愛を育んでいく話だし、全く面白くない。
いや、話は面白いんだけど、この部分の設定が私好みではないということね。
それが、元の世界に戻った所から、雰囲気ががらりと変わります。
内気なシャーロットが、地味なオールドミスから華やかな令嬢ロッティに変わって行くのが面白いし、超堅物で退屈と家族に言われるセバスチャンが、シャーロットに理性が働かなくなっていくのが楽しくて仕方がない。
別世界の記憶はないんだけど、無意識に刷り込まれた習慣や感情を身体が覚えていて、シャーロットと会うとついそれが出てしまうことに思わずにやついてしまいます。
シャーロットにメロメロなのに堅苦しい自分の殻を打ち破れず、それでも無意識に彼女に手を出さずにいられず、悶々としてるセバスチャンと、そんなセバスチャンを誘惑しまくる小悪魔シャーロット^^
小悪魔系のヒロインって苦手なんだけど、シャーロットの場合、元々が地味で内気なオールドミスだし、小賢しさが全部必死さの裏返しで、背水の陣で無茶してる所があって、冷や冷やしながらも安心して読めるという不思議な魅力がありました。
現実世界に戻ってからのページ数が少なくて、もうちょっとこの二人を読みたいと思ったぐらいですが、この長さが丁度いいんだろうな。
戻ってからの一日でほとんど話がまとまってるし。山場は初日の図書室のシーンだろうしなあ。
何がこんなに私を惹きつけるのか、とにかく面白くて何度も読んでしまう作品でした。

この作品はロックハーストとハーマイオニーの続編があるんですが、オーロラブックはロマンス小説の刊行を止めているので残念ですね。
邦訳本はないけど、コミックで出すという荒業を使ってる作品があるので、版権を持ってる出版社の都合何だろうなあと思います。
エリザベス・ボイルの他シリーズの続きも邦訳本で読みたいのですが、無理っぽい気がする

最後に一言。
セバスチャンは伯爵家の跡継ぎでトレント子爵であって、まだ伯爵ではない。タイトルに偽りありすぎだろ


愛しの伯爵と秘密のひとときを (オーロラブックス ボ 1-4)

愛しの伯爵と秘密のひとときを (オーロラブックス ボ 1-4)

  • 作者: エリザベス・ボイル
  • 出版社/メーカー: 宙出版
  • 発売日: 2009/11/10
  • メディア: 文庫



「薔薇色の恋が私を」「愛が薔薇色に輝けば」「薔薇の誓いと愛を胸に」 コニー・ブロックウェイ [ライムブックス]

長く未読本に山積みしていた作者コニー・ブロックウェイの「薔薇の狩人(ローズ・ハンター・トリロジー)」3部作。
何となく積んでたんですよね。
そして、何となく手を出してみた。
ローズハンターの三人とナッシュ家の三人とのお話。



「薔薇色の恋が私を」

物語全体がフランス革命前後からナポレオン戦争の前半までが舞台となっていて、実はそれと密接に繋がって物語が練られているのが、各章に挿入されている年号などで分かります。
歴史を知っていると、ローズハンター達の立場や状況の理解に役立ちます。
物語の起点になっている、ナッシュ家に三人が現れた1801年、この時三人はフランスで捕らえられて2年間獄中で過ごした直後でした。
彼らの育った修道院はもちろんカトリックですから、彼らの諜報活動は教皇領が消える1798年のローマ共和国建国に端を発している訳です。
でも、そんなこと知らなくてもロマンス小説なので、楽しく読めるんですけどね。

そんな激動の時代、完全なスコットランド人のキットとナッシュ家次女ケイトの話。
いわゆるハイランダーがヒーローだと、何となく泥臭いロマンスになるのは何故なのだろう^^;
たぶん、イングランド側から見たスコットランドのイメージが付いて回るんだろうなあ。
この話、キットがハイランダーそのもののキャラの上、平民庶子、財産地位なしなもんで、更に地味な感じになってます。(大尉なので、普通に考えればかなりの出世だし、地位もあるんだけど)
ヒロインも金なし貧乏未亡人だし、舞台が冬のハイランドだしで、一層、地味に暗い。
全編通して横たわる重苦しさは見事です。タイトルのきらびやかさとは正反対。
でも、始めの印象よりは楽しく読めました。
三部作の一話目なので続く最大の謎があるんですが、それ以外は上手く収まる所に収まっていました。



「愛が薔薇色に輝けば」

美形ヒーローと絶世の美女ヒロインの組み合わせ。美形同士というのは珍しい。
物語は面白かったのですが、ヒロインのヘレナがちょっと微妙だったかな。
どうやら私は絶世の美女というキャラクターが苦手らしい。それに、結局のところ、最後までヘレナが考えが足らないというか、表面的というか、底が浅い感じがした。
マンローは欠点のない美形貴公子系のヒーロー。
庶子というのが欠点なんだけど、両親はスコットランドで結婚してるんだよね。お母さんはスコットランドの元伯爵家の娘だから血筋は良いし、本当に欠点のない設定だ。
イングランドでは英国国教会とカトリックとの結婚が認められないって辺りの法律が良く分からなかったんだけど、18世紀と19世紀で結婚についての法律が変わったのかな?
それとも貴族に関しては、英国国教会同士でないと結婚できない法律があったのかな?
調べてみたが分からなかったわ^^;
まあ、そういった良くある(?)事情から庶子として父方の祖父から見捨てられて修道院に引き取られたマンローは、ある程度の年齢まで上流階級の嫡男として育てられているので、キャラクターがしっかり紳士で、安心して読んでいられます。
今作はリージェンシーらしく華やかさがあって、最終的にヒーローが金落ちの貴族になるし、ヒロインは未婚の処女だし、三作品の中で一番一般受けしやすい内容でした。
ステレオタイプの話なので、面白みや新鮮味はないですが、安定した話の展開になってました
謎は一話同様そのまま続きます。でも、あの人が犯人なんだろうなあというのは前回同様想像ついてるんですが、ミスリード役のキャラがもう一人増えてましたね。あれ、前作から出しておかないと……と思ってしまった。



「薔薇の誓いと愛を胸に」

三作品の中で、この作品が一番好き。
捻くれヒーローが好きなのでロスが良かったし、軽薄を演じながら実は堅実で現実的なシャーロットが良かった。
ヒロインがバカなことをして、ヒーローを危機に陥れるパターンが多い諜報物ですが、この作品はそんなシーンがなく、最後まで一貫して密偵を貫こうとするとても有能なシャーロットが素晴らしい。
一話目の冒頭が、今から考えると彼女の未来を暗示していたんだなあと思いました。
実は後半に入るまでロスの心の内があまり見えなくて、前二作に比べるとメロメロ度が低く感じてたのですが、いえいえ、そんなことございませんとも。
シャーロットの評判を落とす作戦中は話があまり進まなくてじりじりしますが、サン・リヨン伯爵の手紙が届いてからの怒涛の展開は読む手が止まりませんでした。
ロスの葛藤やら嫉妬やら何やらが実においしい。
二人がラブラブしている所に助けに飛び込んでくるキットとマンローのラストも何度読んでも楽しいです*^^*

1806年7月14日……ライン同盟成立直後ですね。更には手紙がプロイセンの大使からローマ法王宛てということで、第四次対仏大同盟も関係してきてるんだろうな。
ナポレオンが行け行けで、まだイギリスが本腰を入れ始めた頃だから、世界情勢がおもしろいことになっています。
更にはロスの過去の関係で、スコットランドに辿り着いた1788年と経緯でピンときます。ブルボン家の出身ってことで、設定が上手いなあと思った所です。
ま、一話と同じで歴史的背景を気にしなくても楽しく読めるんですけども。
元々、ロスだけにローズハンターの任務に意義があったし、その後も彼が修道院長の諜報活動を続けていた理由なんですよね。
シャーロットと同じく二足わらじを履いてたようだし。
アンドレ・アンリ・ルースがロスの本名だよね。
アンドルー・ロスとして諜報活動を行いながら、アンドレ・ルースとして反ナポレオンで活動してたのかなあと、思ったり。でもその辺りのことは詳しく書いてないんだよね。
どういう経緯でナイトの称号を得たのかも気になる所でした。やっぱり第四次対仏大同盟に貢献したからかなあ。
歴史的事実と上手く絡み合った物語で、とっても想像が広がって行く話でした。
ロマンス小説とかの枠とは関係なく、こういう話好きだわ~。

犯人については想像通りで、ローセットに化けてるんだろうなあというのはすぐに分かります。しかし、もう一人の方にはしてやられてしまいました。やられたあ、と唸ってしまいました。小説ならではですね。
犯人との最後の対決の時の飄々としたロスがこれまた素敵です。ピンチなんだけどね。
隠れてる犯人の名前を呼ぶ所とか……ああ、知ってたのかって、やっぱり三人の中で観察眼と分析力はぴか一なんだよね。一番食えないヒーローだしなあと納得。ダントツ私好みでした。

三作品とも面白く読めました。
ナポレオン戦争初期の勉強にもなったし、久々に楽しかった。


薔薇色の恋が私を (ライムブックス)

薔薇色の恋が私を (ライムブックス)

  • 作者: コニー ブロックウェイ
  • 出版社/メーカー: 原書房
  • 発売日: 2006/05
  • メディア: 文庫



愛が薔薇色に輝けば (ライムブックス)

愛が薔薇色に輝けば (ライムブックス)

  • 作者: コニー ブロックウェイ
  • 出版社/メーカー: 原書房
  • 発売日: 2006/09
  • メディア: 文庫



薔薇の誓いと愛を胸に (ライムブックス)

薔薇の誓いと愛を胸に (ライムブックス)

  • 作者: コニー ブロックウェイ
  • 出版社/メーカー: 原書房
  • 発売日: 2007/02
  • メディア: 文庫



fuluでダイアナ・ガバルドンのOutlander(アウトランダー)「時の旅人クレア」が見られる [気になる商品]

アメリカでSTARZから8月にアウトランダーが放送されるのは知っていました。
早くて日本で見られるのは来年かなあと漠然と思っていました。
それが、何気にフールーを見ていて一話が配信されているのを見つけてしまった。

すげーぞ!フールー!

最近のラインナップが私のど真ん中。
トーチウッドのシーズン4も見られるし、春には「Doctor Who」のシーズン7の毎週金曜日配信に喜び、ついこの間はほとんど諦めていたテナントドクターの最後のスペシャル3話が配信されてるのを見つけて息子共々狂喜乱舞したところだったのです。
そして今回のアウトランダー。
こんなに頑張ってくれるなんて……

後、ゲームオブスローンズとダウントンアビーをやってくれると完璧なんだけどなあと贅沢なことを考えてみる私と、「Doctor Who」のシーズン8が配信されていないか毎週期待いっぱいの息子。
フールーなしの生活が考えられない今日この頃の我が家です。

そうそう、ドクターフーの50周年記念スペシャルも見たいです!フールー様!

http://www.hulu.jp/

テッサ・デア  「きみはぼくの帰る場所」「駆け落ちは子爵とともに」「レディはならず者に守られて」 [ラベンダーブックス]

「きみはぼくの帰る場所」(天使達の入江1)

前半がどうも話に乗って行けなくて、序盤は自立したつもりでいる気の強い頑固系のヒロインかと身構えました。
でも、徐々にスザンナ像が変わっていきます。視野狭窄でもないし、頑固すぎるということもありませんでした。
途中までは自立した女性達の話かと思ったのですが、そうではないと分かる中盤あたりから、何かを成すために周囲を切り捨てて行ける男性と癒しを与える女性という対比で物語が進んでいたように思います。
読み終わってみれば、生い立ちから境遇まで納得のいくヒロインでしたし、ヒーローのブラムも頑固一徹な軍人かと思ったらそうでもなく、自分の気持ちはそれなりに早く気づくし、スザンナに対してもずっと誠実でした。
仕事と私のどっちが大事なの?っていう決断(スザンナが決断を迫る訳ではないけども)になるのが私好みではなかったですが、スザンナの父親が子供より仕事を優先するのを見て自分を省みるブラムという図式は嫌いではありませんでした。
あまり入りこめなくて斜め読みしていた前半部分でしたが、後半はいつしか手が止まらずに一気に読んでしまいました。
期待しすぎると序盤で読む気が失せてしまうかもしれません。その部分さえ乗り越えてしまえば、普通に面白い作品です。



「駆け落ちは子爵とともに」(天使達の入江2)

面白かった。
前作も部分部分でコメディタッチではあったけど、今作も笑える話の展開です。
ヒーローのダメダメ子爵コリンが行うことがことごとく裏目に出て、スコットランドへの道中は波乱万丈の旅となります。
ストーリーの軽快さとは反対にコリンのトラウマが壮絶で、前作でも少し触れられていた、女性がいないと眠れない障害はかなり深刻です。
当然ながら、過去に何があったのかは今作で明らかにされます。
自分自身が作った軽薄な性格が嫌いで、抜け出したいのに抜け出せず、どんどん自体が悪い方向へ行ってしまう辺りが上手く描けてるなあと思いました。
前作も序盤も、口だけ男のコリンには魅力を感じなかったのですが、ミネルヴァの夢を叶えてやるために、頑張る姿にどんどん引き込まれていきます。
才女ミネルヴァの方も、性格づけが微妙だなあと感じていたのですが、コリンの嘘から始まる波乱に富んだ物語の展開に、彼女の性格はどうでも良くなりました。
お互いに常識的な部分が真逆で、ミネルヴァのかっ跳んだ発想をコリンが思い留まらせようとする前半。
いつの間にか立場が逆転していて、コリンのとんでもない嘘を窘めながらもミネルヴァが振り回される中盤。
そして、意外にあっさり自分の気持ちを認めたコリンが、自分の枠から抜け出すために、ミネルヴァの願いのために悪戦苦闘する終盤。
勢いで読んでしまう作品でした。
最後の結婚したんだか、してないんだか、気を持たせるラストへの流れは私は好きだな。



「レディはならず者に守られて」(天使達の入江3)

「はにかみやのパンジー」でのケイトとの出会いシーンがとっても気になっていたソーン伍長がヒーローです。
ブラムにして血も凍るような悲鳴を上げたも同然と思わせた彼の驚き、もちろん気になりましたよ。
ブラムがそれをさらりと流してこめかみの痣のせいにしているのが腑に落ちなかったのです。絶対に設定があると思わせるシーンでした。
今作を読めばなるほどの反応です。
ケイトが大切で、大切であるが故に彼女と距離を持とうとするソーン伍長がせつない。
男性の切ない想いってどうしてこう、ぐっと来るんでしょうね。
彼の寡黙で頑固なくせに、ケイトにメロメロで、すぐに懐柔されちゃう所が、切なさの割にコミカルな印象を与える作品でした。
これまでの作品もコミカルだったので、作風なんでしょうね。
幼馴染み再会物が大好きな私には、ツボの作品でした。こういう設定すごく好き。
悪者がいそうな話の流れながら、今回も登場人物みんなが基本的に良い人という終わり方で読後もすっきりです。
違う意味ですっきりしない感じは残るけど……他の登場人物と比べて、グラマシー一家のキャラが強烈なんだよね。彼らが主人公のスピンオフがあってもおかしくない感じ^^;
以降の作品が邦訳されると良いんだけど。


さて、作中、舞踏会の度に何かが起こるって、一回しかしてないじゃん舞踏会、と思ったのですが、間に一回合ったらしい。
何が気になったって、1813年のクリスマスに何があったんだ!?ってとこだったりして^^;
このシリーズ、原書の方では1と2の間に1.5があって、1で何度か出てきたヴァイオレットがヒロインなんですね。
ヒロインは六ヶ国語を操る才女で、寡黙らしい。気になるわ、この性格付け。
クリスマスの短編みたいなので、邦訳は望めないだろうなあと、ちょっとがっかり。
語数が少ないなら、そのうち読みたいなあ。

きみはぼくの帰る場所 (ラベンダーブックス)

きみはぼくの帰る場所 (ラベンダーブックス)

  • 作者: テッサ・デア
  • 出版社/メーカー: 幻冬舎
  • 発売日: 2013/05/24
  • メディア: 文庫



駆け落ちは子爵とともに (ラベンダーブックス)

駆け落ちは子爵とともに (ラベンダーブックス)

  • 作者: テッサ・デア
  • 出版社/メーカー: 幻冬舎
  • 発売日: 2013/07/26
  • メディア: 文庫



レディはならず者に守られて (ラベンダーブックス)

レディはならず者に守られて (ラベンダーブックス)

  • 作者: テッサ・デア
  • 出版社/メーカー: 幻冬舎
  • 発売日: 2014/01/23
  • メディア: 文庫



「麗しのプリンセスとくちづけを」「琥珀色の夢をあなたと」 アン・グレイシー [その他出版社]

「麗しのプリンセスとくちづけを」(デビル・ライダーズ 1)

タイトルから地雷を踏みそうな予感がぷんぷん。
あらすじ読んで、やっぱりと思い、読むのを思い留まっていました。
アン・グレイシーの作品って、私にとっての地雷設定がたまにあります。でも、これって、残念なことにデビル・ライダーズの一作目なのよね^^;この後を読みたいので、ひとまず頑張って読んでみました。

ヒーローのゲイブはいい男です。伯爵家の三男で元軍人なので、高圧的ではあっても傲慢ではない。包容力があって、文句無しです。
問題は予想通りプリンセスであるキャリー。
プリンセスという立場の人って気が強くて、周りへの配慮のないキャラが多いけど、キャリーは子供を守らねばならないせいか、更にお姫様気質の欠点が強く出ているヒロインです。
鼻につくキャラで、好きになれない系のヒロインだということ。
キャリーのために立てた計画を、自分勝手な思い込みや視野の狭さから打ち壊して、周囲をピンチに陥れる女性です。
まあ、読んでてストレスの溜まること請け合いです。
更には、ストーリーや設定は良くあるオーソドックスなものです。
レンフル―家の兄弟の確執がゲイブ側から描かれているので、シリーズ物としては押さえておきたい一冊ですね。
これまで色々と抑えつけられていた皇太子のニコライが、ゲイブ達によって成長していく姿はほのぼのしてとっても良いです。
作品としては楽しく読めました。
ヒロインが苦手でなければ。



「琥珀色の夢をあなたと」(デビル・ライダーズ 2)

レンフルー家の異母弟ハリーがヒーローです。
ヒロインが前作よりもずっと好みです。物語は主人公二人ともの過去が痛々しくて、互いに背負っているものがつらい。
特にネルが現在進行形なので、彼女の謎が明らかになって行くのが読んでいるこっちも辛かった。
そして、そのネルを何処までも包み込むハリーが素敵です。
二回目に出会った時に直球でプロポーズした時点で、ハリーが思ってたのと性格が違うと感じ、次に会った時の再びのプロポーズ拒否にも腐らずただネルのためだけを考えていたことで、私が一途なハリーにメロメロでした。
三度目のプロポーズは大衆の前で誘拐し、ネルの逃げ場がなくなるなんて、それも衝動的にってところがドラマティックです。
ネルも、子供のことを隠すでもなく、正直に話す誠実な女性です。
中盤まではぐいぐいストーリーに引き込まれて行きました。
ただ、子供探しに入ると、ちょっと冗長かなあと感じました。
まあ、そんなすぐに見つかるはずがないし、徐々にネルが現実を受け入れて行く細かな描写は必要ですが、ちょっとだれちゃいました。
裏で進んでいたイーサンとティビーのロマンスが一種のカンフル剤になっていました。
ハリーがイーサンに手紙を送り、ティビーの誤解の手紙がイーサンに届いて、イーサンがティビーに会いに行くあたりがちょっとごちゃっとした印象を受けたのですが、あの最中にちゃんとハリーの依頼をこなしてる辺りが、イーサンって本当に有能だなあと感じてしまった。
最後は兄弟の確執もなくなり完全なるハッピーエンドです。

デビル・ライダーというよりレンフルー家シリーズみたいな感じになってますが、レイフやルークよりも、気になるのは兄ちゃんたちなんだよなあ。

麗しのプリンセスとくちづけを (フローラブックス)

麗しのプリンセスとくちづけを (フローラブックス)

  • 作者: アン グレイシー
  • 出版社/メーカー: ぶんか社
  • 発売日: 2009/07/03
  • メディア: 文庫



琥珀色の夢をあなたと (フローラブックス)

琥珀色の夢をあなたと (フローラブックス)

  • 作者: アン グレイシー
  • 出版社/メーカー: ぶんか社
  • 発売日: 2009/09/03
  • メディア: 文庫



「空色の瞳の異邦人」「銀色の草原の約束」「瑠璃色の衣の花嫁」 エリザベス・ヴォーン [ヴィレッジブックス]

三部作まとめて読むことをお勧めします。なぜなら、一冊で完結していないし、「銀色の草原の約束」がとても重くて辛い話だから。


「空色の瞳の異邦人」

ザイ国の王女ララとファイアーランドの将軍キアの物語です。
キアがララに惹かれる理由、ララがキアに惹かれて行く過程はとても良かったです。
ヒストリカルではなく、ヒロイックファンタジーですが、ノリとしてはパラノーマルよりもヒストリカルに近いです。
文化の違いからくる価値観の違いとか、丁寧に説明されているし、ララの一人称なので、全く知らない文化への違和感や戸惑いがとても分かりやすかったです。
ザイ国はヨーロッパ、ファイアーランドはモンゴルのイメージを持って読んでました。
ファイアーランドの世界観が馴染がなく、倫理的にも受け入れにくい部分もあるのですが、設定は表面的でなく、細かく練られていて良くできた世界だと感じました。
完全一人称なので、何となく予想はしていても、徐々に明らかにされていく事実にドキドキして読む手が止まりませんでした。
この作品、ロマンス小説というより、少女マンガにありそうな感じでとても読み易かったです。
三部作の一部ですが、まあ、この作品に関しては、まだ単独でもなんとか読めるかな。
以降の作品は完全に続いています。



「銀色の草原の約束」

テーマが重いです。
ララの自惚れ、自信過剰、驕りが主題になっていて、手遅れになって初めて、自らの愚かさに気づくことになります。
主人公は間違いを乗り越えて成長しないといけないことは分かるし、成長のない物語ほど面白くない話はないのも確かなので、ストーリー展開としては面白いし次作に続いていく重要な部分なのだとは理解できます。
ですが、それを求めてロマンス小説を読む人はいないのも事実で、だからこそ悲惨な事態を引き越したララの驕りが重くて、読み続けるのが辛くなるんですよね。
事態が事態なので、キアとの関係もあまりラブラブしていないし。いや、前作よりはラブラブしてるか……。
少女マンガだから……と思いながら読んでました。少女マンガのカテゴリーなら納得できてしまえる内容なんですけどね。
単独では読んではいけない作品です^^;
必ず最終巻とセットで読みましょう。



「瑠璃色の衣の花嫁」

ウォープライズの真価を問われる最終巻です。
色々と驚きの展開――キアのお母さんらしき人やマーカスの元連れ合いが出てきたりと、色々あったりします。
ララ視点でしか物事を見られないので気になることもありつつ、きちんとすべてに答えが出ていて、物語の最後に相応しい話になっていました。
主人公のララは今まで通りララだし、キアも今まで通りキアです。
いや、キアは反対に背負うものがなくなって、若干、行動が感情的で活動的になってるかも。
二人がラブラブなので、そこは安心して読めました。周囲の人々も仕方ないなあと呆れながらも見守ってる感じ。
文化や価値観の違いが二人の未来がけして明るいだけではないことを示唆しているけれども、互いに互いの違いを受け入れようとしている主人公達が素敵でした。
ヒロイックファンタジーとして読みごたえのある三部作でした。

シリーズ名はウォーランド年代記になるのかな? 向こうではChronicles of the Warlandsシリーズと言うんですね。スピンのヒースとアティラの話らしい「WarCry」の邦訳も期待しています。

空色の瞳の異邦人 (ヴィレッジブックス)

空色の瞳の異邦人 (ヴィレッジブックス)

  • 作者: エリザベス・ヴォーン
  • 出版社/メーカー: ヴィレッジブックス
  • 発売日: 2012/08/21
  • メディア: 文庫



銀色の草原の約束 (ヴィレッジブックス)

銀色の草原の約束 (ヴィレッジブックス)

  • 作者: エリザベス・ヴォーン
  • 出版社/メーカー: ヴィレッジブックス
  • 発売日: 2013/07/20
  • メディア: 文庫



瑠璃色の衣の花嫁 (ヴィレッジブックス)

瑠璃色の衣の花嫁 (ヴィレッジブックス)

  • 作者: エリザベス・ヴォーン
  • 出版社/メーカー: ヴィレッジブックス
  • 発売日: 2014/03/20
  • メディア: 文庫



前の10件 | -

この広告は前回の更新から一定期間経過したブログに表示されています。更新すると自動で解除されます。