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テッサ・デア  「きみはぼくの帰る場所」「駆け落ちは子爵とともに」「レディはならず者に守られて」 [ラベンダーブックス]

「きみはぼくの帰る場所」(天使達の入江1)

前半がどうも話に乗って行けなくて、序盤は自立したつもりでいる気の強い頑固系のヒロインかと身構えました。
でも、徐々にスザンナ像が変わっていきます。視野狭窄でもないし、頑固すぎるということもありませんでした。
途中までは自立した女性達の話かと思ったのですが、そうではないと分かる中盤あたりから、何かを成すために周囲を切り捨てて行ける男性と癒しを与える女性という対比で物語が進んでいたように思います。
読み終わってみれば、生い立ちから境遇まで納得のいくヒロインでしたし、ヒーローのブラムも頑固一徹な軍人かと思ったらそうでもなく、自分の気持ちはそれなりに早く気づくし、スザンナに対してもずっと誠実でした。
仕事と私のどっちが大事なの?っていう決断(スザンナが決断を迫る訳ではないけども)になるのが私好みではなかったですが、スザンナの父親が子供より仕事を優先するのを見て自分を省みるブラムという図式は嫌いではありませんでした。
あまり入りこめなくて斜め読みしていた前半部分でしたが、後半はいつしか手が止まらずに一気に読んでしまいました。
期待しすぎると序盤で読む気が失せてしまうかもしれません。その部分さえ乗り越えてしまえば、普通に面白い作品です。



「駆け落ちは子爵とともに」(天使達の入江2)

面白かった。
前作も部分部分でコメディタッチではあったけど、今作も笑える話の展開です。
ヒーローのダメダメ子爵コリンが行うことがことごとく裏目に出て、スコットランドへの道中は波乱万丈の旅となります。
ストーリーの軽快さとは反対にコリンのトラウマが壮絶で、前作でも少し触れられていた、女性がいないと眠れない障害はかなり深刻です。
当然ながら、過去に何があったのかは今作で明らかにされます。
自分自身が作った軽薄な性格が嫌いで、抜け出したいのに抜け出せず、どんどん自体が悪い方向へ行ってしまう辺りが上手く描けてるなあと思いました。
前作も序盤も、口だけ男のコリンには魅力を感じなかったのですが、ミネルヴァの夢を叶えてやるために、頑張る姿にどんどん引き込まれていきます。
才女ミネルヴァの方も、性格づけが微妙だなあと感じていたのですが、コリンの嘘から始まる波乱に富んだ物語の展開に、彼女の性格はどうでも良くなりました。
お互いに常識的な部分が真逆で、ミネルヴァのかっ跳んだ発想をコリンが思い留まらせようとする前半。
いつの間にか立場が逆転していて、コリンのとんでもない嘘を窘めながらもミネルヴァが振り回される中盤。
そして、意外にあっさり自分の気持ちを認めたコリンが、自分の枠から抜け出すために、ミネルヴァの願いのために悪戦苦闘する終盤。
勢いで読んでしまう作品でした。
最後の結婚したんだか、してないんだか、気を持たせるラストへの流れは私は好きだな。



「レディはならず者に守られて」(天使達の入江3)

「はにかみやのパンジー」でのケイトとの出会いシーンがとっても気になっていたソーン伍長がヒーローです。
ブラムにして血も凍るような悲鳴を上げたも同然と思わせた彼の驚き、もちろん気になりましたよ。
ブラムがそれをさらりと流してこめかみの痣のせいにしているのが腑に落ちなかったのです。絶対に設定があると思わせるシーンでした。
今作を読めばなるほどの反応です。
ケイトが大切で、大切であるが故に彼女と距離を持とうとするソーン伍長がせつない。
男性の切ない想いってどうしてこう、ぐっと来るんでしょうね。
彼の寡黙で頑固なくせに、ケイトにメロメロで、すぐに懐柔されちゃう所が、切なさの割にコミカルな印象を与える作品でした。
これまでの作品もコミカルだったので、作風なんでしょうね。
幼馴染み再会物が大好きな私には、ツボの作品でした。こういう設定すごく好き。
悪者がいそうな話の流れながら、今回も登場人物みんなが基本的に良い人という終わり方で読後もすっきりです。
違う意味ですっきりしない感じは残るけど……他の登場人物と比べて、グラマシー一家のキャラが強烈なんだよね。彼らが主人公のスピンオフがあってもおかしくない感じ^^;
以降の作品が邦訳されると良いんだけど。


さて、作中、舞踏会の度に何かが起こるって、一回しかしてないじゃん舞踏会、と思ったのですが、間に一回合ったらしい。
何が気になったって、1813年のクリスマスに何があったんだ!?ってとこだったりして^^;
このシリーズ、原書の方では1と2の間に1.5があって、1で何度か出てきたヴァイオレットがヒロインなんですね。
ヒロインは六ヶ国語を操る才女で、寡黙らしい。気になるわ、この性格付け。
クリスマスの短編みたいなので、邦訳は望めないだろうなあと、ちょっとがっかり。
語数が少ないなら、そのうち読みたいなあ。

きみはぼくの帰る場所 (ラベンダーブックス)

きみはぼくの帰る場所 (ラベンダーブックス)

  • 作者: テッサ・デア
  • 出版社/メーカー: 幻冬舎
  • 発売日: 2013/05/24
  • メディア: 文庫



駆け落ちは子爵とともに (ラベンダーブックス)

駆け落ちは子爵とともに (ラベンダーブックス)

  • 作者: テッサ・デア
  • 出版社/メーカー: 幻冬舎
  • 発売日: 2013/07/26
  • メディア: 文庫



レディはならず者に守られて (ラベンダーブックス)

レディはならず者に守られて (ラベンダーブックス)

  • 作者: テッサ・デア
  • 出版社/メーカー: 幻冬舎
  • 発売日: 2014/01/23
  • メディア: 文庫



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