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「偽りの求婚に恋の賭けを」(堕ちた天使シリーズ2) サラ・マクリーン [ラズベリーブックス]

「偽りの求婚に恋の賭けを」(堕ちた天使シリーズ2) サラ・マクリーン

ヒロインはペネロペの妹フィリッパ。ヒーローは堕ちた天使のクロス。
フィリッパがクロスを訪ねる所で終わった前作から続いてます。
そして、前作で既に彼女に狼狽させらているクロスが、どんどん混乱の中に入りこんでいく様は楽しい限りです。
今回はハチャメチャなヒロインに振り回されるヒーローの話です。
クロスよりも頭の良いフィリッパ……?
あれは頭が良いと言うのだろうか?
単に知識欲が強いだけなのか……何というか、ねじが何本か抜けてて、非常識で、思い立ったら迷惑を顧みず突き進む、解剖好き。あーこれって変人天才タイプの性格付けかあ。
率直だし、変に女々した所がないので嫌みはないんだけど、自分の興味のあること以外に思考が向かないし、他人がどうなろうと知っちゃこっちゃねえって考えだし、ヒロインの性格じゃないよなあ^^;
私は女性的な視野狭窄や偏見による頑なさ、悲劇のヒロインが好きではないけど、中性的なこのタイプのヒロインは嫌いではないです。支離滅裂だけど本人の中では筋が通っているという思考力のキャラはかなり好きでもある。でも、苦手な人は多そうだ。
最終的に彼女は婚約者への誠実さを履き違えなかったしね。
ラストを読んでて、クロスと出会わなくてカッスルトン伯爵と結婚していてもフィリッパは幸せだったかもしれないなあとも思った。
カッスルトン伯爵はかなりいい男だったと思う。全然愚鈍じゃないし。あれは鷹揚というのよ。
彼がどんな人柄か分かる後半で、やっとフィリッパがカッスルトン伯爵の求婚を受け入れたことに説得力が出たとは思いました。彼以外の伯爵が求婚しても彼女は受け入れなかっただろう。彼だから婚約したのだ。
だから、みんなが言ってたような愚鈍だけど良い人ではなく、実は「鷹揚ないい男」だったのです。

ハーロウ伯爵であるクロスにかんしては、その孤独が家族に端を発しているので、いわゆるアウトローな人ではないんですよね。
だから、ボーンやテンプルとはちょっと毛色が違って、真っ当な貴族の放蕩者って感じ。学者肌タイプだし。
で、理性的で論理的で予定調和を好むクロスが、突拍子もない言動のフィリッパにタジタジになって、更にはメロメロになっていくのはとても楽しめました。
ただ、色々腑に落ちない場面があったり、彼の家族との関係が有耶無耶のままで終わってるのが気持ち悪い読後感を与えてる気がする。
最後子供出来てるしさあ、相続問題はどうなったんだ? フィリッパと結婚を決意した時に、自分の中の誓いはなくなってしまったのか?
その辺りを最後にちょっと書き込んでほしかったです。

話は長いし、ヒロインは好みが分かれそうだし、ヒーローがぐるぐるしてる話なので、冗長に感じる人もいるかもしれないけど、私はすごい面白かった。
やっぱり、サラ・マクリーンは今一番お気に入りの作家さんだわ。






以降の作品からの超ネタばれ↓

偽りの別れに愛のあがないを」を読んだ後に再読しました。 フィリッパがチェイスの招待で、堕ちた天使でクロスの好きなゲームだと彼女を21に誘った女性、一度目の時はいわゆる咬ませ役で、フィリッパに嫉妬心を抱かせるためのキャラだと思っていましたが、とんでもない! 気づく人はここで気づいていたのだろうか? 確かに意味深なセリフが多くて、訳ありな女性風に書かれてるけど、何度も出てきた人だった訳で。そして、ウェストと何かあると思わせる描写。そういえば、ラブ・バイ・ナンバーズではジョージアナの相手って誰か分からないまま終わったんだよね。娘も生まれてるはずだし……。
色々考えれば考えるほど、「紳士を射止めるための10の教え」から「偽りの求婚に恋の賭けを」の4作はジョージアナのための伏線でいっぱいなのです。
堕ちた天使達の再読は終わったけど、今度はナンバーズの再読です。 作者は、一体いつの時点で、チェイスを創造していたんだろうか。


偽りの求婚に恋の賭けを (ラズベリーブックス)

偽りの求婚に恋の賭けを (ラズベリーブックス)

  • 作者: サラ・マクリーン
  • 出版社/メーカー: 竹書房
  • 発売日: 2013/12/10
  • メディア: 文庫



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「偽りの別れに愛のあがないを」(堕ちた天使シリーズ) サラ・マクリーン [ラズベリーブックス]

「偽りの別れに愛のあがないを」(堕ちた天使シリーズ3) サラ・マクリーン

大きな身体の無敵のボクサー、テンプルがヒーローです。4人の中で一番女性に優しかったテンプルです。優しくて大きい人なんだよね。(包容力だけではなく、全てが大きい人っていう感じ)全編通してそれが分かります。
対するヒロインは十二年前、父親の婚約者で、テンプルが殺したとされているマーラ。まあ、生きていた訳ですけどね。

これも一作目と同じで再会の物語で、お互い20歳と16歳の時に出会い、おそらく一目惚れに近い状態だったのが、状況が恋に落ちることを許さず事件が起きてしまった。それ故に、二人は互いに深く結びつくことになってしまった。一度、それも短い時間にしか会ったことのない相手に。
こういう設定大好きです。
テンプルの暗く重い過去のことは前作から十分わかっていたんだけども、ヒロインの過去が重いのはサラ・マクリーンの作品では初めてです。
そして、色々な意味で過去のヒロイン達の中で一番強いヒロインでもあります。いみじくもチェイスが彼女を評したように。肉体的にも精神的にも強いし人を頼らない。それはいわゆる女性的な頑固さやしなやかさではなくて、人間の生きる本能というか、生命力の強さなのです。
過去の過ちの償いというのは、人が科せられる責任の中で一番難しく、困難なものだと思う。
起こってしまったことは変えられず、それを過ちと認め、謝罪することの難しさ。そこにワザとではなかったという思いがあれは余計に謝罪も償いも難しいと思うのです。
償いの意味で善行を行うことはあっても、本当の意味で謝罪して償える人は物語の中でも珍しいからです。
基本的に過ちは元に戻せないものであり、そのものに対して購うなんてことはできないからです。
それを見事にやってのけたマーラは天晴で、一度も言い訳をしなかった所にも惚れます。
彼女はすべてにおいて一人で対処するし、助ける人もいない。また、それを期待することもない。
唯一そういう存在になれたかもしれない弟を切らねばならなかったマーラ。
テンプルが殺されかけた時の堕ちた天使の中のマーラの孤独が、十二年間(もしかすると母親が死んでからの十五年)の彼女の孤独なんだと思った。
こんな強い女性にメロメロにならなかったら嘘だよ、テンプル。
と、思ったんだけど、マーラの評価はあまり良くないらしい。
マーラが良くないと思われるのは、テンプルに正直になれなかった所? 強過ぎる所? 逃げちゃう所? なのかなあ。
私は、自分を自分で助けることのできるマーラがとても好ましいと思ったんだけど。ちゃんと人の声に耳を傾けられる所もあるしね。基本的に素直で芯の強い女性だから。
終盤にテンプルから逃げる所は、相手を神のように崇め、自分を卑下して傍にいられないと思う辺りが、ペネロペから逃げようと足掻いていたボーンに良く似た感じを受けました。
だから二人はそりが合わなかったのかしら。ボーンがマーラに殴られて青痣作ってる所はちょー楽しめた。

そして、ラスト。
チェイスに全部持ってかれた!!



↓超ネタばれです。

「スカートを撫でつけて……」の所! 思わず叫んでしまいました。 この作品、チェイスが案外冷たいなっと、思いながら読んでたんですよね。マーラに対しての敵愾心が強いし。 前二作はかなり手を回してヒロイン達の味方をしていたチェイス。でも、今作はほとんど手も口も出してないし、テンプルのことは気遣うんですけど、マーラを気遣う所がないんですよね。マーラは知り合いですらないからそれは理解できるんですが、それならペネロペもフィリッパも知り合いではなかったし、信用する筋合いはなかったじゃないか……と思ったのです。でも、二人に対しては始めっからずっと好意と信頼を持っていたチェイス。 それで、ヒロインに対するチェイスの態度にずっと違和感を持っていたんだけど、エピローグで全ての謎が明らかに! そして、今までの思わせぶりな部分が全部筋が通ることに気づきました。この作品の中だけでもいくつかある。レイトン公爵夫妻の仮面舞踏会に密かに参加してる所とか。 そりゃ、マーベル家の女性達は特別だよなあ。 ナンバーズから全部再読しなければ。 次作が気になって仕方ありません。今年の11月に発売されるって? 邦訳は来年秋ぐらいかしら。待ちきれません。 テンプルの捨て台詞から、ドノヴァン・ウェストがいつかスピンでヒーローになるのではないかと思ってたんだけど、これって、もしかして次作ヒーローなのでは? と思うラストでした。 次作でテンプルがウェストのセリフを言ってる所が頭に浮かんできはじめちゃった^^


偽りの別れに愛のあがないを (ラズベリーブックス)

偽りの別れに愛のあがないを (ラズベリーブックス)

  • 作者: サラ・マクリーン
  • 出版社/メーカー: 竹書房
  • 発売日: 2014/07/10
  • メディア: 文庫



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「偽りのあなたに真実の誓いを」(堕ちた天使シリーズ) サラ・マクリーン [ラズベリーブックス]

「偽りのあなたに真実の誓いを」(堕ちた天使シリーズ) サラ・マクリーン

ヒロインが「公爵を振り向かせるための11の誘惑」でサイモンの婚約者だったレディ・ペネロペです。
ヒーローは幼馴染のボーン侯爵。

サラ・マクリーンの作品はどれも好きなんですが、この作品がダントツNO.1です。
理想的なレディで婚約者だったはずなのに捨てられたヒロインが幸せになる話はかなり好きだし、幼馴染でお互い好ましく思っていた二人が年月を経て再会する話も大好きです。
更には、どん底に落ちたヒーローが這い上がり成功するんだけども、心に闇を抱えている話も大好物です。
ペネロペが控え目で理性的で度胸がある性格なのがいい。マイケルが後ろ向きな思考でどんどん泥沼化し、対照的にペネロペが自分の力を自覚してどんどん強くなるのも好みです。
前作からの8年、マイケルを失ってからの10年を埋める届かない手紙も切ない。中盤の、返事が返ってこなくなり、更に投函しなくなってからも書き続けるペネロペの気持ちや、次第に諦めになっていく想いが現在の二人に重なって切ないです。
持参金にファルコンフェルを入れたニーダム侯爵の意図も途中で分かるし……結局、真正面から求婚に行けば銃を乱射されることもなかったし、証拠の手紙も簡単に手に入ったのではないかと思うんだけど。
復讐に生きるために敢えてペネロペへの気持ちや思い出を封印して忘れたふりしてたのに、侯爵の所為で思い出さなくてはいけない状況に追い込まれ、それでも足掻いて彼女を傷つけ続けながら自分も傷ついていくというテンプレ通りのヒーローが泥沼にハマっていくのは楽しい。
昔っから二人の気持ちが周りにバレバレだったってのも楽しい。
堕ちた天使たちに指摘されまくって、それでも足掻いてる所も楽しい。
とにかく好みの設定がテンコ盛りで、私には好きにならずにはいられない話でした。
ラスボスをペネロペが倒すのも最高ですね。
ペネロペが格好良すぎる!





ここからは超ネタばれ


今回、シリーズ3作品目の「偽りの別れに愛のあがないを」を読み終わり、チェイスの正体が分かったので再読です。
チェイスが誰か分かると、意味ありげなセリフが大量にあって、思わずにやりとしてしまいます。 というか、性別が分かるとこの作品の台詞から某公爵の妹以外に当てはまる人がいないという事実。 そりゃ、借りがあるよね。あれやこれやとペネロペのためにしてあげなきゃと思うよね。友人のボーンのためではなく、本当にすべてペネロペのためだったんだな。
ある意味、ペネロペのレイトン大災害の直接の原因だしねえ^^; 白紙委任状にも納得。
ナンバーズから再読必至です。

偽りのあなたに真実の誓いを (ラズベリーブックス)

偽りのあなたに真実の誓いを (ラズベリーブックス)

  • 作者: サラ・マクリーン
  • 出版社/メーカー: 竹書房
  • 発売日: 2012/11/09
  • メディア: 文庫



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