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「ひめごとは貴婦人の香り」「道化師と内気な花嫁」 エリザベス・ホイト [ライムブックス]

18世紀。フレンチ・インディアン戦争後の話です。
最近何故か、フレンチ・インディアン戦争づいています。この間パメラ・クレアの三部作読んだところだし。ま、こっちはまた後日アップするとして……。
戦争が題材だと話が重いですね。
このシリーズも、描写がとても辛いです。
ヒーローたちが戦争で負った傷をいやしていく物語になっています。一応。


「ひめごとは貴婦人の香り」 四人の兵士の伝説シリーズ 1

伯爵令嬢で男爵未亡人のレディ・エメリーンとアメリカ植民地の商人で元英国軍人平民サムの身分違いものです。とにかく走り続けるヒーローだしね^^;
とはいうものの、同じよう身分違いロマンスの「雨上がりの恋人」とは全然テイストが違うのは、ヒーローが植民地アメリカ出身だから?
だって、折角の身分違いロマンスなのに、全然、切なくない!
泣きたいような切なさがないんだもん。
エメリーンが頑固で傲慢で俗物すぎるのかなあ。ヒロインの魅力が全く分かりませんでした。
特に、明らかに戦争のPTSDを患っているだろうジャスパーと愛のない結婚をしようと本当に婚約してしまう辺り、自分勝手で視野狭窄で、私の一番嫌いなタイプです。
ロマンスのサム側は結構切ないですが、それでも彼に身分差の葛藤がなかったので、切なさが思ったのとちょっと違う。
でもまあ、サムが彼女を「酸っぱい青リンゴ」と例えているように、彼の好みはみんなが顔をしかめて嫌がるものらしいので、物語としてはヒロインの性格も納得です。

さて、このシリーズは「スピナーズ・フォールズの虐殺」の裏切り者に関する謎解きが物語の底流にあります。
本作では裏切り者は分からないまま終わり、次作に続きます。
ジャスパー以外の生き残りとしてスコットランドのアリスター・マンロー、大陸旅行中のマシュー・ホーンの名前が挙がっています。
四人の兵士の話なので、残りのヒーロー?と予想してしまいますね。
ジャスパーとメリサンドに関してはとっても気になります。
どうやらエメリーンの親友メリサンドがジャスパーに片思いしているらしい感じだし、そんなメリサンドにジャスパーは気づいていないだけではなく、その存在すら記憶に留めていないという徹底っぷり。
主人公二人より、よほどメリサンドの方が切ないよ~と思いながら中盤を読んでいました^^;

挿入されている寓話、アイアンハートの物語は素敵ですが、私はいまいち主人公達と関連づけさせられなかったです。



「道化師と内気な花嫁」 四人の兵士の伝説シリーズ 2

はい。前作でとっても気になっていたメリサンドがヒロインです。
もちろんヒーローは愉快な放蕩者ヴェール子爵ジャスパー・レンショー、レンショー元大尉です。
鈍感でおバカで戦争のPTSD持ちで、わざと明るく呑気者を演じているジャスパーは何気に私の好きなタイプ。外見はそんなにハンサムではないですが。
そして健気なメリサンドがいいんですよ。前作で片思い中というのは分かっていましたが、ホントにジャスパーの記憶に残っていなかったのね。名前すら覚えてもらってないって酷過ぎるよ。
ジャスパーのスピナーズ・フォールズの裏切り者探しが物語を引っ張っていくのかと思いきや、二人の結婚生活とジャスパーのPTSDがメインで話が進むので、前作ほどのスピード感はないものの、お互いの心情の機微がしっかりと描かれていて、とっても良かったです。
社交嫌いなだけで全然内気じゃないメリサンドに振り回され、彼女が気になって仕方なくなっていくジャスパー。ジャスパーの社交的で明るく呑気な性格の裏で抱える重い過去の記憶や罪悪感。五年間見つめてきたからこそ彼の痛みに寄り添えるメリサンド。そして、昔には戻れないものの、徐々に癒されていくジャスパー。
前作も傾向としては癒しの物語ではあったのだけど、ヒーローのトラウマの重さが、そのまま物語の重さになっているためか、今作の方が辛いですね。身体に見える傷がない分余計にジャスパーの闇が深い気がします。
結局ラストでもトラウマ解消できなくて、ベットで眠れない二人だし。まあ、かなり癒されたのは確かだし、罪悪感も軽くはなったんだけどね。
最後までジャスパーの心に寄り添うメリサンドと、メリサンドの過去を優しく包み込むジャスパー。どちらも素敵でした。

しかし、マシュー・ホーンがヒーロー候補ではなかったとは……。
次作は拷問に傷付いたマンローと前作にも出てきたリスター公爵の愛人で二人の子持ちのヘレンですね。
エメリーンとの会話から、メリサンドが本質を見誤らないし、無暗に批難もしない素敵な女性なのは分かっていましたが、実はお節介でもあったのね。
最後は二人に対して力技ですよ、メリサンド^^;

寓話「愉快なジャック」の物語が良いですね。ジャックがジャスパーを彷彿とさせます。

ひめごとは貴婦人の香り (ライムブックス ホ 1-4)

ひめごとは貴婦人の香り (ライムブックス ホ 1-4)

  • 作者: エリザベス・ホイト
  • 出版社/メーカー: 原書房
  • 発売日: 2011/07/08
  • メディア: 文庫



道化師と内気な花嫁 (ライムブックス)

道化師と内気な花嫁 (ライムブックス)

  • 作者: エリザベス・ホイト
  • 出版社/メーカー: 原書房
  • 発売日: 2011/12/09
  • メディア: 文庫



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