「戦士と美しき人質」「戦士と誇り高き女王」「戦士と魔術師の娘」 キャサリン・コールター [ランダムハウス]
今更ですが、読み終ったのでランダムハウス講談社文庫の作品の感想でも。
キャサリン・コールターのヴァイキングシリーズ三部作です
「戦士と美しき人質」
中盤まではごく普通のヴァイキング物でした。ヒーローのロリックはヴァイキングらしく直情的で衝動的で暴力的。なので序盤、ヒロイン・ミラナはかなりひどい目に遭います。
現代の感覚で考えると、ヴァイキング時代のロマンスは中盤辺りまで、ヒロインに辛いものが多いです。
この作品も例に洩れず、ロリックのミラナへの扱いが酷くて、ちょっと気持ちが沈みます。ロリックの島に着いてからは、女性たちがミラナの味方になるので随分救われますが。
かつて愛する妻や子供がいたわりに、ロリックはそういう面ではかなり思考が幼い気がします。ロマンスとしてはかなりの薄味^^;ロリックがお馬鹿すぎて、どうにも物足りません。まあ、ロリックがあまりにも鈍感でおバカだからこそ、女性陣がミラナの味方になってくれるという構図があるので、仕方がないんですけどね。
物語としては、盛り沢山過ぎてお腹いっぱいな感じ。
ヒーローの復讐物ってだけで良いんじゃないの?とは思いました。
アイルランド王の若返り作戦は目新しかったですが、それはそれで色々と突っ込みどころ満載でした。
「戦士と誇り高き女王」
作者からの挑戦状つきのこの作品。
ヒロイン・ラーレンと弟のタビーをめぐる陰謀の真犯人と、ヒーロー・メリックの兄殺害の真犯人を推理しながら読むことになります。
まあ、そんなに深く考えずに読めばいいんですけどね。ミステリー小説じゃないし^^; ただ、ロマンスを求めて読む作品ではないな。
前述のように、謎解きがメインの話なので、ロマンス部分が淡泊な上、その謎解き自体も二つあるので、どうしても謎解き部分に意識が持っていかれてしまう。
特に主人公たちが……。
更に、ラーレンが詩人としてみんなの前で披露する話が結構なページ数を取っているので、そっちにも気持ちが持っていかれてしまう。で、このラーレンの即興詩が中々面白いので、メインの話からちょっと気持ちが脱線してしまうのです。
この即興詩のいくつかはストーリーに密接に関係しているものもあるので、飛ばさず、ちゃんと読むと面白い。
中々悩ましい作品でした。物語は非常にまとまっているし、どんでん返しも見事です。挑戦状の時点で大どんでん返しがあるんだろうなあとは予想付きますが^^
ロマンス小説としても、ミステリ小説としても中途半端で、内容てんこ盛りで上手く纏まっている割に、惜しい!って感じの作品です。
中世社会の世界観、更にはヴァイキングヒーローの割に、メリックが優しく誠実なので、ラーレンにこれでもかと災難が降りかかってもそんなに悲惨な感じがせず、ゆったりと構えて読むことができました。
ただね、メリックとラーレンの弟タビーとの関係がものすごくもやもやしました。
メリックのタビーへの溺愛ぶりが今一納得いかない。いや、いいんだよ? タビーに運命感じて、愛しちゃうのはね。でも、その絆が明らかにラーレンより強いし、ラストでラーレンへ言い訳じみた愛の告白してるけど、取って付けてる感じがしてしまったわ。
結局、そのもやもやは次作にも持ち越されたし。ラーレンの生んだ我が子よりタビーの方を愛してるって、どんな親だよーー; 今作中でも、そうなりそうな書き方はしてたけどさ……。
「戦士と魔術師の娘」
三部作のラストを飾るのは、前作で奴隷から自由民になったクリーヴと前々作でアイルランドの王になり変わった魔術師の娘イーズ(チェッサ)です。
前2作はロリックとメリックが兄弟の所為か、何となく話の雰囲気が似ていた気がします。でも、今作はちょっと趣が異なります。
キャラクター達の性格が飛び過ぎていて、かなりコメディタッチです。
ラストには魔術がどうたらと、トリックでなく、パラノーマル風の話にまで変わってしまいました^^;
うーん……予想外の展開だった。
ノリが軽いので、中世ロマンスとしては希有なほど、笑いながら気楽に読めます。
や、ヒーローのクリーヴの設定なんかはコメディにはそぐわない痛々しいものなんだけどねえ。
ヒロインのチェッサが全てをぶち壊していく様がとにかくすごい。
しかし、これは好き嫌いの分かれる話だなあと思いました。
最初から最後までバタバタした話で、ロマンス部分もバタバタしている感じが消えない。
ヒロインに振り回されるヒーローという構図は嫌いではないですが、それは傲慢ヒーローに限るんです。
初めから優しくて苦労症のヒーローは振り回さないであげてほしい。チェッサが振り回しているというよりは、頭のおかしいデーンロウの王族に振り回されているんだけども。
一作目からの主要キャラがこれでもかというくらい出てきて非常にうるさい作品ですが、シリーズの最後を飾るという意味合いではとっても良かったです。
読むときはちゃんと一作目から順に読むように。
キャサリン・コールターのヴァイキングシリーズ三部作です
「戦士と美しき人質」
中盤まではごく普通のヴァイキング物でした。ヒーローのロリックはヴァイキングらしく直情的で衝動的で暴力的。なので序盤、ヒロイン・ミラナはかなりひどい目に遭います。
現代の感覚で考えると、ヴァイキング時代のロマンスは中盤辺りまで、ヒロインに辛いものが多いです。
この作品も例に洩れず、ロリックのミラナへの扱いが酷くて、ちょっと気持ちが沈みます。ロリックの島に着いてからは、女性たちがミラナの味方になるので随分救われますが。
かつて愛する妻や子供がいたわりに、ロリックはそういう面ではかなり思考が幼い気がします。ロマンスとしてはかなりの薄味^^;ロリックがお馬鹿すぎて、どうにも物足りません。まあ、ロリックがあまりにも鈍感でおバカだからこそ、女性陣がミラナの味方になってくれるという構図があるので、仕方がないんですけどね。
物語としては、盛り沢山過ぎてお腹いっぱいな感じ。
ヒーローの復讐物ってだけで良いんじゃないの?とは思いました。
アイルランド王の若返り作戦は目新しかったですが、それはそれで色々と突っ込みどころ満載でした。
「戦士と誇り高き女王」
作者からの挑戦状つきのこの作品。
ヒロイン・ラーレンと弟のタビーをめぐる陰謀の真犯人と、ヒーロー・メリックの兄殺害の真犯人を推理しながら読むことになります。
まあ、そんなに深く考えずに読めばいいんですけどね。ミステリー小説じゃないし^^; ただ、ロマンスを求めて読む作品ではないな。
前述のように、謎解きがメインの話なので、ロマンス部分が淡泊な上、その謎解き自体も二つあるので、どうしても謎解き部分に意識が持っていかれてしまう。
特に主人公たちが……。
更に、ラーレンが詩人としてみんなの前で披露する話が結構なページ数を取っているので、そっちにも気持ちが持っていかれてしまう。で、このラーレンの即興詩が中々面白いので、メインの話からちょっと気持ちが脱線してしまうのです。
この即興詩のいくつかはストーリーに密接に関係しているものもあるので、飛ばさず、ちゃんと読むと面白い。
中々悩ましい作品でした。物語は非常にまとまっているし、どんでん返しも見事です。挑戦状の時点で大どんでん返しがあるんだろうなあとは予想付きますが^^
ロマンス小説としても、ミステリ小説としても中途半端で、内容てんこ盛りで上手く纏まっている割に、惜しい!って感じの作品です。
中世社会の世界観、更にはヴァイキングヒーローの割に、メリックが優しく誠実なので、ラーレンにこれでもかと災難が降りかかってもそんなに悲惨な感じがせず、ゆったりと構えて読むことができました。
ただね、メリックとラーレンの弟タビーとの関係がものすごくもやもやしました。
メリックのタビーへの溺愛ぶりが今一納得いかない。いや、いいんだよ? タビーに運命感じて、愛しちゃうのはね。でも、その絆が明らかにラーレンより強いし、ラストでラーレンへ言い訳じみた愛の告白してるけど、取って付けてる感じがしてしまったわ。
結局、そのもやもやは次作にも持ち越されたし。ラーレンの生んだ我が子よりタビーの方を愛してるって、どんな親だよーー; 今作中でも、そうなりそうな書き方はしてたけどさ……。
「戦士と魔術師の娘」
三部作のラストを飾るのは、前作で奴隷から自由民になったクリーヴと前々作でアイルランドの王になり変わった魔術師の娘イーズ(チェッサ)です。
前2作はロリックとメリックが兄弟の所為か、何となく話の雰囲気が似ていた気がします。でも、今作はちょっと趣が異なります。
キャラクター達の性格が飛び過ぎていて、かなりコメディタッチです。
ラストには魔術がどうたらと、トリックでなく、パラノーマル風の話にまで変わってしまいました^^;
うーん……予想外の展開だった。
ノリが軽いので、中世ロマンスとしては希有なほど、笑いながら気楽に読めます。
や、ヒーローのクリーヴの設定なんかはコメディにはそぐわない痛々しいものなんだけどねえ。
ヒロインのチェッサが全てをぶち壊していく様がとにかくすごい。
しかし、これは好き嫌いの分かれる話だなあと思いました。
最初から最後までバタバタした話で、ロマンス部分もバタバタしている感じが消えない。
ヒロインに振り回されるヒーローという構図は嫌いではないですが、それは傲慢ヒーローに限るんです。
初めから優しくて苦労症のヒーローは振り回さないであげてほしい。チェッサが振り回しているというよりは、頭のおかしいデーンロウの王族に振り回されているんだけども。
一作目からの主要キャラがこれでもかというくらい出てきて非常にうるさい作品ですが、シリーズの最後を飾るという意味合いではとっても良かったです。
読むときはちゃんと一作目から順に読むように。
戦士と誇り高き王女 (ランダムハウス講談社文庫 コ4-2 )
- 作者: キャサリン コールター
- 出版社/メーカー: 武田ランダムハウスジャパン
- 発売日: 2008/09/10
- メディア: 文庫
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