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「星降る庭の初恋」「花嫁は夜の窓辺で」「甘い嘘は天使の仕業」 エロイザ・ジェームズ [ライムブックス]

「星降る庭の初恋」

思い込みの激しい情熱家ヒーローのアレックスが酷いの一言に尽きる。
シャーロットは普通のお嬢さんで可も不可もないヒロインなんですが、アレックスの仕打ちが酷過ぎて、読んでいるのが辛かったです。
物語は一目惚れの再会物なので、私の大好物なんですが……。アレックスが最後までシャーロットの正体が分からないのが腹立たしい。それも、シャーロットが説明してるのに。
原因が全てアレックス自身の勘違いから発生しているので、彼女自身どうしようもなく、周囲の人にもどうしようもないものなので、余計に苛々が増しました。
誤解しては和解して、誤解しては和解するジェットコースターのようなストーリーが、切なさとストレスを断続的に掻き立てる、とっても疲れる作品です。
ただ、物語の展開のさせ方、筆力が高いんでしょうね、気持ち的には読むのが辛かった本なのに、あっという間に読了してしまいました。
設定やストーリー展開があまり好きではないのに、エロイザ・ジェームズの作品を思わず読んでしまうのは、この筆の巧みさですよね。
もっと登場人物を少なくして、主人公達だけにスポットを当ててほしいと毎回思うのですが、キャラが多くてバタバタした雰囲気はこれ以降の作品にも受け継がれている特徴なので仕方のない部分かな。



「花嫁は夜の窓辺で」

フォークス兄弟はお馬鹿で思い込みが激しいどうしようもない男性ということで結論ですね。
アレックスは怒りを外に向けるタイプ。パトリックは内に籠るタイプ。どちらも奥さんを傷つけまくりです。
ヒロインのソフィーも好きなタイプではなく、特にパトリックと結婚するまでの悪足掻きというか、自分の気持ちを認められない頑固さというか、そういう諸々が正にロマンス小説のイギリス女性の典型な感じで、ストレス溜まりまくりです。
頭が軽くてオシャレ好きの軽薄な今時レディ。でも、実は7ヶ国語を操る言語オタク。常に言語を勉強していなければ落ち着かないらしい。
この特技が後半に生かされて、話のメインになるのかと思いきや、そうでもなく、オスマントルコの使節団の話は(陰謀も)案外さらっと流されてしまっている。
まあ、冒険活劇ではないので二人の夫婦生活がメインになるのは仕方ないとしても、もう少し陰謀関係が話に絡んできてくれても良かったのにと、思いながら読んでいました。
終始、二人が意地を張り合い、悶々として泥沼化していく話になっているので。
ブラッドンとマドレーヌのカップルは可愛らしい感じで好きですが、ブラッドンがあまりにもおバカなのが残念でした。



「甘い嘘は天使の仕業」

ヒロインにクセがあって、万人受けしない。登場人物が多くて、何だかバタバタしている。あっちもこっちも何だか事件が起こってる。そして、何気になんちゃって救済物語。
エロイザ・ジェームズの特徴を全て詰め込んだ、彼女らしい作品なのではないかと思います。
エセックス姉妹シリーズが苦手な人は、これも苦手だと思われる。
物語の主題である「嘘」をどう捉えるか。自分の考えに凝り固まっちゃって暴走するヒロインを受け入れられるかが、作品を楽しめるかのキーポイントです。
ギャビーがエロイザ・ジェームズのヒロインらしい気性の持ち主で、好感が持てないかもしれません。でも、エロイザ・ジェームズってストーリーテラーだよな、といつも思います。
好きになれないキャラクターでも話は面白く読めるんです。
ページ数が多くてちょっと冗長かなっと感じますが、物語の流れに引き込まれると、一気に読んでしまえる面白さがありました。
リュシアンとエミリーのカップルの方は嫌いじゃないですが、それにページ数を取る必要はないんじゃないかなあと思いました。主人公達の話の展開とは違う所で恋愛してる感じだったので。前作のブラッドンとマドレーヌのようにきれいに主人公達に絡んでこないんですよね。
二人のシーンはページが増えるだけで話を散漫にしているだけのように感じました。
反対に前作の主人公が活躍していて嬉しくなります。そういや公爵夫妻なんだよね。パトリックが公爵って、何か違和感だわ。


処女作からのスピンオフ三作品ということで、荒削りなのは仕方のない所ですね。
エセックス姉妹の4部作もこの作風のままなので、4部作が好きな人はこちらも好みかも。

星降る庭の初恋 (ライムブックス)

星降る庭の初恋 (ライムブックス)

  • 作者: エロイザ・ジェームズ
  • 出版社/メーカー: 原書房
  • 発売日: 2011/04/08
  • メディア: 文庫



花嫁は夜の窓辺で (ライムブックス ジ1-6)

花嫁は夜の窓辺で (ライムブックス ジ1-6)

  • 作者: エロイザ・ジェームズ
  • 出版社/メーカー: 原書房
  • 発売日: 2011/08/10
  • メディア: 文庫



甘い嘘は天使の仕業 (ライムブックス)

甘い嘘は天使の仕業 (ライムブックス)

  • 作者: エロイザ ジェームズ
  • 出版社/メーカー: 原書房
  • 発売日: 2012/02/10
  • メディア: 文庫



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