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PHS-8「歌姫に薔薇の花を」PHS-40「侯爵のひたむきな愛」 ダイアン・ガストン [HQヒストリカル]

PHS-8「歌姫に薔薇の花を」

19世紀前半のイギリスが舞台で、ヒーロー、ヒロイン共に平民、それもヒーローが資産家ではなく、地主の長男でもない。更にはヒロインが貴族の落胤でも資産家の娘でもない。もちろん多額の持参金もない。名付け親が裕福な貴族という人も出てこない。という、本当に普通の平民同士の物語は初めて読んだ気がします
侯爵様と伯爵様がヒロインのローズを愛人にするために取り合っているんだけども、ローズにしてみればそんなこと知ったこっちゃない感じで、一目惚れした秘書のフリンに猛アタックです
二人の野心と恋心が一つのストーリー。それとは別に侯爵と伯爵の思惑(というか競争?)がもう一つのストーリー。これが絡むのではなく、並行して物語が進みます
主人に対する忠誠心とローズへの恋心の間で葛藤するフリンが見所なんですが、私的には葛藤度合いがもう一つかな
愛に対しての障害がお互いの野心だけなので、あまりロマンス側の緊張がなかったのも残念な所かな
色んな縛りに勝手にがんじがらめになって葛藤しまくってるヒーローが好きなもんで、全体的にちょっと薄味でした(最近読んでたのが濃すぎたのかも知れない)
もう一つの軸の方はサスペンス調ですが、こちらも薄味だったかな
まさか、伯爵が本当に二人を殺害してしまうとは予想外でしたが……
話はバランスがとれていて、とても読み易かったです
さて、二人の恋物語が進むにつれ、放置されている感が強くなっていくタナートン侯爵。基本いい人なんです。しかし、彼の性格がつかみきれないまま終わってしまった感じかなあ


PHS-40「侯爵のひたむきな愛」

「歌姫に薔薇の花を」の終了直後から物語が始まります。つまり、フリン夫妻のお祝いに駆け付けたダブリンからの帰り道、嵐に遭い沈没する船でヒロインとヒーローは出会います
マリーナを救い、そこからマリーナの逃亡に手を貸して二人で逃避行。自分は役立たずだと思い続けてる割に、何でもお出来になる侯爵様です。更には努力家?
自分の罪にタナートンが巻き込まれないように、何度も彼から離れようとするマリーナと、そんな彼女を何度も捕まえて側に置こうとする侯爵。こういう話は好きですね
特に、マリーナを疑ったり悪く思ったり一切しない侯爵が、邦題通りいじらしいです
マリーナってば、夫殺しで指名手配中だし、子供ができないと医者から言われてるし。なのに、結婚しようと思うまで葛藤がないのも、特筆すべきことかも。子供ができないって、爵位持ちのヒーローは大抵結婚を躊躇するもんねえ
前作のフリンの恋の障害なんてマリーナとの障害に比べれば可愛いもんです
そんな経緯を読んでて思ったのは、つくづくおぼっちゃま育ちなんだなあということ
ロマンス小説の貴族様、それもヒーローの性格では珍しいけど、本当に育ちが良くて頭が良くて、できる人間っていうのは、貪欲さも野心もないから総じて鷹揚になるのかもしれない
そう考えると前作の掴みどころのない性格も、ただのお坊ちゃまだったということだったのか
今回、掴みどころのない侯爵の性格に説得力を感じました
終盤、ウェクシンに捕まったマリーナ達が、タナートン達の助けを待たずにあっさりと逃げ出せてしまい、そのままラストというのはもう一つぐらい捻りが欲しかったところです。ちょっとあっさり窮地から抜け出し過ぎ^^;
しかし、この物語、悪役のウェクシンが実は妻にとってはとても忠実で良い奴だったというのが後味の悪い感じでした。子が生まれるところだったといのも……なんかねえ
まあ、エピローグも幸せいっぱいで、良かったです

ちょっと調べてみたところ、レディ・ウェクシンが次の作品のヒロインですね。醜聞の真っただ中、夫の残した債務と子供を抱えて大変になっているようです。気になります。
「Scandalizing The Ton 」
これ邦訳があるとして、早くても来年でしょうね


歌姫に薔薇の花を (ハーレクイン・ヒストリカルスペシャル)

歌姫に薔薇の花を (ハーレクイン・ヒストリカルスペシャル)

  • 作者: ダイアン ガストン
  • 出版社/メーカー: ハーレクイン
  • 発売日: 2010/11
  • メディア: 新書



侯爵のひたむきな愛 (ハーレクイン・ヒストリカルスペシャル)

侯爵のひたむきな愛 (ハーレクイン・ヒストリカルスペシャル)

  • 作者: ダイアン ガストン
  • 出版社/メーカー: ハーレクイン
  • 発売日: 2012/06/01
  • メディア: 単行本



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